Ghetto

生と死(自殺問題を含め)について勉強し、生きづらさを解決や緩和させることを主な目的にしています

Ghetto

ミニマリストのエスノグラフィー

f:id:ydet:20191008163451j:plain

今回はミニマリズムに関する記事です。

前半はミニマリズムや諸外国の人生観を紹介し、後半は日本のミニマリズムには『人文系ミニマリスト』と『ピュアなミニマリスト』の二つの流れがあるという話をします。

 

  

世界を席巻するミニマリズム

さて、大ざっぱに説明するとミニマリズムとは最小限の物で機能的に暮らし、精神的な豊かさを求める価値観のことです。

ちなみに、ミニマリズムはいま先進国を中心に雨後の筍のように普及しています。

たとえば米国ではタイニーハウスという、小型の家で暮らすことがクールだと考えられるようになりました。

 

『荒野へ』という本

米国や欧州でベストセラーになった『荒野へ』という本も、諸外国でミニマリズムが台頭する要因になりました。

この本は後述するピュアなミニマリストの佐々木典士さんも自著のなかで紹介していますが、こちらでも以前紹介したことがあります。

荒野へとは、1992年の夏、アラスカの荒野の針葉樹林に放置されていたバスの車内で亡くなっていた、永遠の旅人クリストファー・マッカンドレスの足取りを記録したノンフィクションです。著者は、登山家の間でも評価の高いジャーナリストのクラカワーです。

クリストファー・マッカンドレスの死因については、自殺説や有毒植物を食べたという説や餓死説など複数存在していますけど、真相は謎に包まれたままです。孤高の旅人は、最果ての地で息絶えるときに何を見ていたのでしょうか。

そういえば、クリストファー・マッカンドレスは経済的に豊かで温かな家庭で育ち、人柄も良好だったそうです。

にもかかわらず、彼は財産と荷物のほとんどを捨て名前を変えています。そして華やかな娯楽を遠ざけ、精神的活動に没頭しました。ひたすら精神の自由を希求しました。

要するに物質的な豊かさよりも、自分の内面に忠実であることを優先する生き方をしていたわけです。

事実、クリストファー・マッカンドレスはアラスカの荒野へ旅立ち夭逝しましたが、そのひたむきでストイックなスタイル、そしてその深い内面には諸外国においても多くの人が共感するようになりました。

参考書籍

荒野へ (集英社文庫)

 

ミニマリズムプラグマティズム

ところで、民主主義の諸外国では医療関係の業務、それから学問や芸術関係といった知的業務以外、長く続けようとする人は日本人ほど多くありません。

フランスやイタリアやスペインなどの南欧の人はとくにそうですが、これにはプラグマティズムが関係しているのでしょう。

かくして諸外国ではどちらかというと、先ほど説明した業務以外はある程度時がすぎたら引き際を見定め、趣味や精神的な活動に重きを置くほうが望ましいと考える傾向があります。

考え方によっては、趣味や精神的な活動に重きを置いて生きることは諸外国で民衆が人生のゴール(目標)に設定している状態に近いということにもなると思います

 

ミニマリズムと精神的活動

そもそも労働を卒業した後は、だいたい趣味や精神的な活動(たとえば読書や釣りや庭作りや料理など)に取り組むようになります。

むろん、ベテラン労働者や自国の文化を軽んじるべきではありません。

言うまでもなく、熟練した労働者や自国の文化を尊ぶのは大人なら当然のことだからです。

ただし、いまの趨勢をある程度考慮することも建設的です。

なぜなら、いまは旧来の仕事がなくなったり、単純労働を中心にその多くをAIが代行するようになったりしているという、これまでにはなかった事情があるからです。

 

ミニマリズムを普及させる方法

それにしても、ある程度日本文化を尊重しながら、個人が幸福を追求できるようになるにはどうすればいいでしょうか。

こういう場合、『もったいない』という諸外国にも通用する日本語の概念をコンセプトにし、ミニマリズムを普及させていくというのもいいかもしれません。 

たとえば、これから紹介するミニマリストたちの著書を紹介したりするなどして。

なお、そのためには日本のミニマリズムにはまず『人文系ミニマリスト』と『ピュアなミニマリスト』の二つの流れがあるということを理解したほうがいいです。ミニマリストを十把一絡げにするのは適切ではありません。

 

人文系ミニマリストとピュアなミニマリスト

さて、ここから日本のミニマリズムに話を移します。

日本のミニマリズムは、大別すると二つの流れがあります。

どういうことかというと、人文系ミニマリストとピュアなミニマリストに分類することができます。

そうすると、次のようになります。

 

人文系ミニマリスト

ミニマリストというと、たとえば鶴見済さんや寝太郎さんやphaさんを連想する人もいるのではないでしょうか。

この人たちの場合、もともと学術的な基礎教育を受け人文系の教養があったり、サブカル系の活動をしていたりします。そのため人文系やサブカル系のミニマリストに分類できます。

付記すると、人文系ミニマリストの場合は長年ミニマリズムに影響されていて、自分の心の声に忠実に従っている印象がします。

 

鶴見済さん
ライターの鶴見済さん。 最新刊『0円で生きる:小さくても豊かな経済の作り方』はミニマリスト向けの良書ですが、人文系やサブカル系の話題が好きな人にも向いています。近年の鶴見済さんは『不適応者の居場所』という、社会に適応しにくい人や生きにくさを抱えた人も参加できるイベントを主催されています。

参考書籍

0円で生きる: 小さくても豊かな経済の作り方

 

寝太郎さん
小屋暮らしをしていた寝太郎さん。寝太郎さんは山林などに小屋を建てて暮らされ、近年の小屋暮らしブームを作ったと言っても過言ではありません。寝太郎さんの上梓した『自作の小屋で暮らそう』や『スモールハウス』は小屋暮らしの金字塔です。ちなみに寝太郎さんはいまはアパートで暮らされているようです。

参考書籍

自作の小屋で暮らそう ──Bライフの愉しみ (ちくま文庫)

スモールハウス ──3坪で手に入れるシンプルで自由な生き方 (ちくま文庫)

 

phaさん
ギークはてなブロガーのphaさん。phaさんはギークハウスという、ギークや社会に適応しにくいひとも受け入れるシェアハウスを作ってきました。phaさんは今年の7月に『頑張らない練習』という本を上梓しました。本作は日常の思索が中心になっていて、ギークタイプのミニマリストが壮年になったときの参考にもなります。その文章からは意外とお茶目なおじさんのイメージもします。ちなみにphaさんもいまはアパート暮らしで、執筆に専念されているようです。

参考書籍

がんばらない練習

 

ピュアなミニマリスト

ミニマリズムに特化したコンテンツを運営しているピュアなミニマリストもいます。

たとえば編集者をされていた佐々木典士さんや会社員のおふみさんがそうです。

この人たちはしばらく正業に就いていて、どちらかというと標準的な生き方をしていました。

そして元マキシマリストだったという共通点がありますが、シンプルにこのカルチャーを探求していると考えられる人たちです。

そのため、すくない持ち物で生きる技術やミニマリスト向けのアイテムを紹介するなど、ミニマリストとしての具体的な知識を紹介している場合が多いです。

付記すると、ピュアなミニマリストの場合は活動をはじめてから比較的日が浅く、やや若いという傾向もあります。

 

佐々木典士さん
某出版社で編集者をされている佐々木典士さん。佐々木典士さんはピュアなミニマリストのパイオニア的な存在です。佐々木典士さんが数年前に上梓した『ぼくたちに、もうモノは必要ない』は幅拾い層に好評で23ヶ国語に翻訳され、ミニマリストの入門書のようになっています。最新刊『ぼくたちは、習慣でできている。』も飛ぶように売れています。

参考書籍

ぼくたちに、もうモノは必要ない。 増補版 (ちくま文庫)

ぼくたちは習慣で、できている。増補版 (ちくま文庫, さ-48-2)

 

おふみさん
会社員が本業ではてなブロガーのおふみさん。おふみさんは結婚されていて夫のおてみさんとともにミニマリストライフを謳歌されていますが、彼女の描く楽しいイラストも評判がいいです。おふみさんのおすすめの本は、ミニマリストになるためにブログの記事が書籍化された『ミニマスト日和』ですが、本書は汎用性があります。

参考書籍

ミニマリスト日和

 

しぶさん
福岡でミニマリズム関係の事業を展開されているしぶさん。しぶさんはすくない持ち物で生きる方法やミニマリスト向けのアイテムを紹介しています。ミニマリストしぶのブログは月間100万PVの超人気ブログで、福岡の家賃19000円の格安アパートでの暮らしを紹介した記事も好評です。しぶさんが昨年上梓した『 てぶらで生きる。』はいまもコンスタントに売れています。

参考書籍

手ぶらで生きる。見栄と財布を捨てて、自由になる50の方法

 

プラグマティックな視点の必要

先ほどのガイドから、日本のミニマリズムには二つの流れがあることがわかります。

しかし、人文系やサブカル系の流れのミニマリストを好ましく思う人が、ピュアな流れのミニマリストの情報に偏向してふれる可能性もあります。

また、その逆のパターンもありえます。

かくして、どちらか一方のみを見ることで誤解してしまうことには注意が必要です。

ちなみに人文系やサブカル系の話題が好きな人は前者を好む傾向がありますが、万人受けするのは後者です。

双方に良さがありますが、よりミニマリズムを理解するためにはこちらで説明したことを意識したほうが勉強になります。

さて、今回は文化比較論の話もすこししました。

けれど、いまの趨勢から考えるとネット上のコメントの場合も、ある程度体系的に説明されていれば世の中に包摂されていると思います。

もし難しい気分になられた場合は申し訳ありませんが、世の中にある考え方のひとつ程度にご理解ください。

© 2022 Ghetto